日本は歯並びが悪いまま放置して成人している人が、先進国のなかでも相対的に多いと言われています。
「八重歯」と言った表現はあることから伺えるように、歯並びの悪さに対する許容しやすい国民意識が存在しています。
歯列矯正には肉体的にも精神的にも負担をかける点が意識してされてきたことも大きく影響しています。

歯列矯正と言えば、ワイヤーで歯を固定し強制的に歯列を調整するといった治療が従来から行われてきました。
しかし目立つだけでなく、調整の際には強い痛みをともなうなどの負担が余儀なくされています。
矯正の過程で歯茎に余裕が無くなると抜歯が必要になるなど負担の大きな治療であったことも事実です。

このような従来の歯列矯正のデメリットを意識して、インビザラインと言う新たな治療法に注目が集まっています。
このインビザラインとはアライナーと呼ばれるマウスピースを歯の裏側に装着して矯正を行うと言うもので、裏側矯正とも呼ばれる歯列矯正治療になります。
アライナーと言うマウスピースは透明のプラスチック素材で、歯の表面にワイヤーを張り巡らせると言ったことはなく、目立たないので審美性にも優れているのです。
食事の時には取り外し可能な仕様なので口内を衛生的に保つことが簡単にできます。
異物感が少ないので発声にも影響を与えることはありません。
インビザラインは透明のマウスピースをはめ込むだけなので、目立たない上に痛みも少なくなっています。

従来のワイヤー矯正などでは取り外しが困難で、衛生的に保つには相応にケアに留意する必要がありました。
食事のあとの歯磨きには丹念に傾注しないと、口内を清潔に保つのが難しいと言った難点を抱えていました。
またインビザラインでは治療の為に装着する素材がプラスチックなので、金属素材を使用する訳では在りません。
したがって従来の矯正治療では金属を使用することから矯正を諦めていた人でも安心して治療を始めることが出来るわけです。

マウスピースを使う際に、毎月型を取り直して再製する手間がかかるのではという懸念を抱く方もいるかもしれません。
インビザラインでは治療前にコンピューターで将来的な歯列の変化を視野に入れたマウスピースを作ります。
そのため1ヶ月半から3ヶ月に一回程度の通院で済ませることが出来るので、通院の為のスケジュール調整をつけるのが難しい多忙な人でも余裕を持って実践することができます。
人目に付かないことから営業職や接客業の人でも審美性の面での心配は不要です。

裏側矯正のデメリットは?

痛みが少なく発声にも影響しない点で、機能面や人目に目立たない上に食事には取り外しできるので衛生的などメリットの大きいインビザラインですが、デメリットはどうなのでしょうか。
インビザラインを計画通りに使用して歯列矯正の治療結果を得るためには、1日あたり20時間以上の装着時間を遵守することが必要とされています。
この時間を守らずおざなりにしていると治療期間が長期化するばかりか、満足な歯列矯正も出来ずに終わる可能性があります。

また対応できる施設が限られるのも事実です。
インビザラインはアメリカではすっかり歯列矯正治療現場に普及していますが、日本に紹介されたのは2000年代に入ってからですのでまだ20年にも満ちません。
このような事情が影響して東京や大阪などの大都市圏に対応できるクリニックが集中しているわけです。

クリニック治療中はマウスピースをほぼ終日装着し続けることになります。
痛みはほぼありませんが、異物が口内に留置される事実に変わりはないので、どうしても違和感を感じることになるのは否めません。
特に裏側矯正では歯の裏側に、普段の動作でも舌の先端が装具に当たるといった事態が生じるのは防げません。
このような刺激が口内炎を誘発することになることもあるのです。
これらの症状は慣れないことに起因するので、落ち着くまでには治療開始後2ヶ月程度は我慢することになります。

インビザラインは日本に紹介されて日が浅い訳ですが、表側矯正に比較すると治療費用が割高になるのもデメリットの一つと言えるでしょう。
費用が嵩む原因には矯正装置の仕様の違いにあるのです。
なぜなら歯の裏側は表側に比較すると形状が複雑なことから個人差が大きく、標準的なものを事前に準備することができません。
一人ひとりの形状に合ったマウスピースをオーダーメードで作成する必要に迫られます。
その工程も非常に複雑で、歯型をもとに石膏模型を作成し、その模型の歯をばらばらにして、患者さんの口内の歯列に相応するように微調整を行いマウスピースが作成されることになります。
このように治療装置が嵩む上に、治療を始めてからの定期的な調整の難しさも関係しているのも否定出来ません。

裏側矯正ではただでさえ形状が複雑なうえに、そのままでは肉眼で確認するのが難しくなっているので、作業が複雑で面倒になり表側矯正に比べると熟練した技術が必要になる訳です。
インビザラインで歯列矯正を検討しているなら、このようなデメリットがあることも念頭におく必要があると言えるでしょう。